Windows 10 Creators Updateが4月12日にリリースされました。
数々の新機能を追加した大型のアップデートです。
大型アップデートの恐怖
アップデートというとDTMerをはじめ、安定環境を希望するシステムを使用しているユーザーにとっては「恐怖」を伴うものです。
実際に前のバージョンであるWindows 10 AU(アニバーサリーアップデート)では多くの不具合報告があり、未だに安定していないという報告もちらほらと見られます。
(もっとも、使用しているプログラムやハードウェアの問題もあるためWindowsだけが原因ではない)
今回のアップデートも可能なら見送るべきでは?という意見も多いですが、個人的にはそんなに気にしなくてもいいんじゃないかな?と思っています。
それでも安心してアップデートしたい方はDAWベンダーが公式に安定を発表するのを待つのもいいかもしれません。
参考になるかは分かりませんが自分の環境ではアップデートを適用してもトラブルは発生しませんでした。
新機能ゲームモード
Windows 10 CUではゲームモードという新機能が追加になりました。
これはCPUやGPU、ハードウェアの能力を大きく占有するプログラムを使用する際に資源を優先的に割り当て、より快適にプレイできるようにOSレベルでの支援を行う機能です。
簡単に言うと、たくさんのサービスで共有しているCPUをゲームに積極的に割り振る機能です。
OSが特定のプログラムのプライオリティ(優先度)を高めて処理能力を使う訳ですね。
WindowsやMacOSでもそうですが、PCのOSは目で見える以外にもたくさんのタスク(仕事)をバックグラウンド(裏側)で処理しています。
ネットワークの通信やプリンタの印刷、目に見えない所ではメモリやHDDなどの書き込み管理などもOSのタスクの一つです。
こういった大量のオーダーを効率的に順序を付けて処理するのがOSの役目です。
普段DAWを使用している間にも、使用していないプリンタの印刷処理の待機や様々な処理に少しずつ処理能力が奪われている訳です。
DAWを優先的に使用したらどうなるのか?
ゲームモードでは優先的に処理性能を割り当ててもらえる。
そう考えればDAWに優先的に処理を割り当てたらいいんじゃない!?という考えに至るのは当然です。
試そうかな、と思っていたのですがひと足先に検証を行っている情報がありました。
実験をしていたのはcakewalkの公式でした。
非常に有益なレポートになっています。
検証結果について要訳した内容を以下にまとめておきます。
ゲームモードはCPU/GPUをゲームに使い、バックグラウンドからの阻害を防ぐ。
これはSONAR等のDAWにも有用なのではないかと考えた。これをチェックするためにCakewalkのエンジニアJon Sasorは最新のSONARを使用してゲームモードのベンチマークを行った。
ハードウェアはDellのPC(intel core i7-6920HQ@2.9GHz 16GB Ram)で、オーディオ再生のパフォーマンスをゲームモードのon/offで検証した。ゲームモードではCPUリソースを有効に活用してより低レイテンシで安定した再生を期待していたが、実際にはSONARのマルチプロセッシングエンジンは上手く機能しなかった。
多くのトラックとプラグインを使用した負荷の高いプロジェクトを再生しながらゲームモードをonにするとCPU使用率が高くなりマルチコアCPUの負荷が不均衡になることが分かった。
最適ではない負荷分散によって、オーディオ再生でグリッチやドロップアウトが通常よりも多く発生する可能性がある。ゲームモードでは少なくともチューニングされた環境で動作するSONARよりも良いパフォーマンスを示さなかった。
これはSONARがすべてのCPUリソースを使用したい状況にあってもゲームモードが一定のリソースを割り当ててしまうことに起因している。
SONARがゲームモードで動作している唯一のアプリケーションである状態ではパフォーマンスが低下する可能性がある。
他のバックグラウンドプロセスが動作している省電力システムでは、ゲームモードは他のアプリやサービスとの望ましくないやり取りを防ぐのに有益である。少なくともCreator’s Updateの最初のリリースではSONARをゲームモードで使用する必要はない。
将来のアップデートでパフォーマンスが改善する可能性はあるが、現時点ではパフォーマンスの改善は見られなかった。– Windows 10 Creator’s Update:Your DAW is not a Game
ゲームモードのロードバランシングは大量のプラグインなどの並列タスクに対して効率が悪いようですね。
CubaseなどのDAWでもパフォーマンス向上させる方法についてOSのバックグラウンドタスク優先を選択するようにアドバイスがあるように、メインプロセスの下に子プロセス(プラグイン)が大量発生するDAWはゲームに比べるとロードバランシングは難しいのだと思います。
しかし、こういったハードウェア資源の意識的な再配分が可能になればDAW専用PC化への道が開ける可能性もあります。
今後のアップデートや情報についても引き続き検証を行っていきたいと思います。
AMDのRYZENや新型Mac Proの話題などPCハードウェア関連の新情報もにわかに盛り上がりを見せています。
ハードウェアの進化がクリエイティビティに直結するかと言えばそういう訳ではありませんが、よりレイテンシの低いモニタリングやレコーディングなどの快適さに繋がったり、ヘビーロードなプロジェクトや音源を快適に使用することが可能になるなどの恩恵も多々あります。
何よりDAWの安定化はDTMerの永遠のテーマの一つでもあります。
快適な作業環境の構築のための情報も引き続きリサーチをしていきたいと思いますので、皆様からの情報もお待ちしております。


あなたのコメントをお待ちしています