
今まで使用していたPCは2016年にDTM用のPCを組みなおそう!!という計画を立ててパーツを選別して組み立てたものでした。
あれから5年半近く経ち、当時のセミハイエンドに寄せたPCでもさすがに限界を感じるようになってきましたので大幅に性能を強化することにしました。
以前のPCはCore i7-7700K、導入時は6700KだったPCにCPUやストレージ強化を行って使用してきていました。
メモリも32Gと導入時にはミドルレンジ以上の量を搭載しましたが、ここ数年で映像・音源ともに要求するメモリ量が急増してきたため32GBではメモリ不足でドロップするなんて言うケースも出てくるようになりました。
またi7-7700Kの性能ではOzoneやNeutron、OPUSなどの重いプラグインを動かすには苦しい状態でした。
CPU性能も向上しAMDのRyzenシリーズなどの不具合や相性問題についてもある程度の解決が見られるようになってきたこのタイミングであれば安定してしばらく使っていける環境が構築できるのではないかと考えました。
そんなわけで要件としては
・10コア以上のCPU
・メモリ64GB
・ストレージ拡張の余裕がある
この辺りを重要視して構成を検討した結果これを満たそうと考えると長く付き合ってきた現在のPCケースでは容積が限界であり、ケースも変えるのであれば安定稼働の実績のあるパーツでくみ上げられているBTOに必要なパーツを増設することで対応しようと考えました。
それらの条件を考慮し、Core i9-10980を搭載して4chのメモリバスをフル活用する構成にする方が大型サンプラーの負荷にも耐性が高くなりますし自分の環境では良さそうだと判断しました。
単純な処理性能としてもDAWやプラグインの並列処理対応が進んでいることを考えると18コア36スレッドというXeonクラスのパワーは有効に機能してくれるのではないでしょうか。
CoreシリーズのCPUも12世代が発売になっていますが、非対称コアの処理配分やOSのタスクスケジュールについてまだ不明な点が多いため効率よりも力押しを取ります、力こそパワーです。
これらの条件を良いバランスで満たしてくれるBTOPCがTSUKUMOのeX.computerでした。
GPUもファンレスを選択できるのもありがたいです。
ゲーミング用途よりどちらかというとワークステーション寄りの性能に寄せる方が音楽用には適している構成になると思います。
OSについては今後のメインストリームはWindows 11に切り替わるので今回のオーダーではWindows 11をプリインストールに選択し、サポート対象外のハードウェアについては覚悟を決めて使うことにしました。
Antelope Dicrete 8 Synagy Core
現時点(2022/01)でWindows 11の正式サポートが発表されているオーディオインターフェイスは多くありません。
動作しないわけではないのは各地のフォーラムなどで確認はできるのですが、アップデートで動作しなくなるリスクや新機種への移行も考えられる時期ではあるのでWindows 11からオーディオインターフェイスを導入する人は現時点では悩むことが多いかもしれません。
また半導体不足の影響もあり主要メーカーのハードウェアの供給が悪く人気機種が品薄であることも問題です。
今回導入したのはAntelope AudioのDiscrete 8 Synagy Coreです。
キャンペーン中は評判の良いモデリングマイクのEdge Soloが付いてきます。
RME、Universal Audio、Antelopeとこのクラスになってくるとモニター環境もそれなりのクラスにならないと宝の持ち腐れになりかねないですが、ヘッドホン環境でも出音が明らかに違うことがわかるくらい差がありました。
このインターフェイスはWindows 11はまだ正式にサポートが発表されていないので導入については完全に自己責任です。
事前にメーカーにドライバのアップデートの予定があるのかは尋ねましたが、目途についてはまだ不明であり特に教えてもらうことができませんでした。
さらにFPGA Pluginを使用するためにThunderbolt接続したいとなるとWindows環境では弾数の少ない(=情報が少ない)非純正の拡張カードを搭載し変換コネクタを介して接続して、動かなければ自力でトラブルシュートしなければならないという壁を超える必要があります。(超えました)
これはまた別の記事でまとめたいと思います。
それを押しても費用対効果にキャンペーンで付属してきたモデリングマイクを考慮すれば恩恵の方がはるかに大きいと考えています。
機能的にはDSPプラグインが使用できて、モデリングマイクやギター録りの場合はインターフェイス上で音を作りこんでの掛け取りも可能。
USB/ThunderboltのハイブリッドタイプでThunderboltならDAWからDSPをプラグインとして使用できたり、USBの場合はOSに接続した普通のオーディオインターフェイスとしてPCからの出音、配信などにも簡単に対応ができます。
I/Oもアナログが8 In/OutにADAT 12 IN/OUTとS/PDIFと十分な本数。(アナログOutはTASCAM D-Sub 25pin ブレイクアウトケーブルが必要)
MONITORの他にREAMP出力がありアウトボードへのSENDとモニターも行えるので個人で使う環境としては必要十分ではないかと思います。
PCとのマッチングについて
USB接続でセットアップを行い十分な性能で満足ができる環境ではあったのですが、AFX2DAWというDSPプラグインをDAW上で設定するプラグインを使用するためにThunderboltケーブルでのセットアップが必要になります。
ただしThunderbolt接続の場合仕様上ASIOでの使用しかできないので公式にはWindows標準出力をASIOに対応させるツールをインストールすることが推奨されています。
ですが、不要なラッパーやドライバを介在させるのが大嫌いなみるくここあさんなのでそこは結線のみで何とかしてやろうと画策します。
マザーボードからの出力は定番のRealtekオーディオで、3.5mmミニジャックのステレオ出力とOpticalのアウトプットが搭載されていました。
3.5mmミニ-フォンのインサーションケーブルがあるのでTipをL、RingをRとして代用はできるのですが、アナログポートからの入力を入れると折角よいオーディオインターフェイスなのにノイズを入れてしまうことになりますので、ここはOpticalで接続をしたいところです。
しかしDiscrete 8はOpticalはADAT入力のみでTOSLinkでの入力はできません。
ここは必要経費としてOputical to Coaxialの簡単なコンバーターを噛ませてS/PDIFのRCA端子の入力へデジタル入力を放り込んでPCからの音声を流すことにしました。
あとはDiscrete 8のミキサーパネルから32本ある入力チャンネルにS/PDIFのステレオ入力をリンク状態で立ち上げてモニターへ流す設定にしておけばASIOで接続をしていない状態でもオーディオインターフェイスからPCの音声を出力することができます。
この方法は同様の制限がある機器においても有効な方法ですし、コストも大したことはないのでオススメです。
DAWや各種プラグインなど
DAWは変わらずCubase 11を使用しています。
今春にはCubase 12が予定されており、いよいよe-Licenserが不要になるということですが発売はいつになるのでしょうか。
音源の中心にはNaitive InstrumentsのKompleteとEastWestのComposer Cloudを使用しています。
大体必要なものを網羅できるのでこの二つはやはり便利です。
プラグインはWavesのSSL、APIとチャンネルストリップ系をいくつかつまみ食いと、Melda Productionのバンドル、IK Multimediaのバンドル、iZotopeのバンドルとよくあるプラグインを入れてあります。
そのほかにも独立系のベンダー製品なども入れてありますが、この辺りは作りました報告の際に使った音源などを紹介していこうと思います。
使用感について
セットアップが完了し実際に動かしてみると、ほぼ期待通りの性能を発揮してくれました。
OPUSやKONTAKTの重い音源を大量に立ち上げていたため32GBでは苦しかったプロジェクトも容易に立ち上げることができました。
CPU Loadにも余裕があり、後先を考えずにトラックを立ち上げても心配がないというのは迷子になりやすい人にはありがたいと思います。
OPUSのストリング系を纏めて立ち上げてあるプロジェクトについてはアクセスするファイル数が多いせいかそれなりの時間がかかりました。
これ以上の高速化を望むのであればSSDのRAID構成なども視野に入れる必要がありそうです。
ストレージに関してはNASが置いてはあるのですが、これをライブラリ用に使用するためにRAID 10のSSD構成にするのはさすがにやりすぎですしプロの方にお任せして快適環境を紹介していただきたいなと思います。
Thunderbolt接続になったことでレイテンシもASIO Guard有で20ms付近まで短縮ができましたが、さすがにレイテンシが小さくなっていることで高負荷なプロジェクトやエフェクト山盛りのプロジェクトを再生すると再生破綻が起こりました。
この辺りの上限値がどの辺りにあるのかまだ確認ができていないのでもう少し検証を行って参考データを提示できたらいいなと思っています。
RyzenやCore 12世代など、選択しが多くなった環境ですが、MacとWindowsの両方が世代交代をした直後であり、周辺機器との相性などについても不安の残るタイミングなので移行したくても迷っている方も多いのではないでしょうか。
Windows 11に正式対応していない古いインターフェイス(Saffire Pro 40)もインストールして使用することは可能でしたし、古めでもドライバが問題なく動作するインターフェイスもありました。(Steinberg MR816x)
しかし細かい心配をするならばより世代の新しい機器の方が情報も多いですし、正式なサポートのある環境で動作させるのが理想的ではあります。
Windows、Macの双方が想定する標準環境が大きく変化したタイミングなので古い環境をだましだまし使っている方は乗り換えを検討すべきタイミングなのだとは思います。
駆け足で紹介してみましたが、Core 12世代のCPUやWindows 11の環境についてはまだ情報が少ないので次回はインターフェイスとの接続周りについて詳細に書いていきたいと思います。
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