昨今話題に欠かないJASRACですが、またもや斜め上からのニュースが流れてきたようです。
一体これはどういう事なのでしょうか?
JASRACとの信託契約
今回の問題の根底にはJASRACとの信託契約があります。
秋元 康と言えばAKB48のプロデュースをはじめ、過去にも多くの作詞を手掛けてきた大御所の一人です。
そんな秋元さんであれば当然多数の作品が信託されています。
ここでJASRACの信託契約について見てみましょう。
契約期間について
信託契約の期間は3年です(※)。特段のお申し出がなければ、さらに3年間の自動更新となります。更新にあたって、新たな手続きや費用は必要ありません。
契約の更新を希望しない場合は、信託契約期間満了日(3月31日)の3ヵ月前(12月31日)までに書面でお申し出をいただくことで、満了日をもって契約が終了します。※最初の契約期間は、契約を締結した日から2年を経過した後、最初に到来する3月31日までとなります。
(例)2015年10月1日~信託契約開始→2018年3月31日に契約満了
一度信託契約を結んだ場合、明示的に解除の申し出が無ければ自動的に契約が継続される、とあります。
2017.07.13 – 追記
JASRACの信託契約約款が更新されたことにより信託の期限が3年から1年に短縮されました。
これに合わせ信託契約の柔軟化と著作者の自己使用範囲の拡大も実施され、時代に即した管理に向けて一歩を踏み出しました。
こういった取り組みを今後も推進していただければいいですね。
そしてもう一点
1.すべての作品の著作権が移転します
JASRACとの信託契約により、これまでお作りになった作品と、今後お作りになる作品のすべての著作権がJASRACに移転します。作品単位で権利を移転するかどうかの選択はできません。
ここが問題のようです。
何を間違えたのか
事の始まりは和歌山市が進めている小中一貫校の設置事業です。
平成29年4月開校予定の伏虎義務教育学校の校歌を和歌山市出身の東京藝術大学の澤 和樹学長に依頼しました。
澤学長は依頼を受け、同大学の客員教授を務めている秋元さんに作詞を持ち掛けたことで共作が実現したということです。
校歌完成の報では秋元さんのコメントも寄せられています。
また、校歌の披露にあたり、作詞を担当した秋元さんは「伏虎義務教育学校で得たもの、蓄えた力をいつか、未来のために発揮してください。挫けそうになった時、この校歌を口ずさんでください」とメッセージを寄せ、澤学長が代読しました。
これを読む限り秋元さんにとっても想定外の出来事だったのではないかと考えられます。
(校歌を口ずさんで僕に著作権料くださいだったらそれはそれで面白いですがw)
市教委はおそらく校歌の制作の依頼からこのような権利問題が発生する事は想定外でしょうし、秋元さんにとっても想定外であれば協議で解決ができる事のように思います。
JASRACは徴収に来るのか?
信託の状況を鑑みれば法的には理にかなった話ではありますが、現実的にはまずあり得ないのではないでしょうか?
まず市立の学校であり、営利目的の施設ではないこと。
次に校歌自体が営利を目的として演奏、歌唱されるものではないこと。
この二点から「JASRACが来るぞ!!」という言説には疑問符が付きます。
J-WIDを検索してみるとJASRACに全信託が付いている校歌は他にもありましたが、今のところそういった学校にJASRACから請求があったという話は聞いたことがありません。
JASRACによると学校の校歌については所定の書式があり、提出により学校ホームページでの掲載については当分の間免除とするという規定もあるようですので問題はなさそうですね。
安心した、じゃあ校歌の歌詞をガンガン掲載しようぜ!!と考えた方、まあ早まるな少し待とうか。
学校での利用については例外規定があることは上で書きましたが、個人が校歌を紹介するサイトなどを運営した場合は規定外であり、徴収の対象となる可能性が高いです。
どんな形であれ、他者の著作物であることには変わりありません。
おかしな気を起こさないように気を付けましょうね(´・ω・`)
気になる点も残ります
信託契約の形態については色々な声があるようですが、三年という単位が妥当であるのか、期間中の著作物については全てJASRACに著作権が移転するという仕組み自体が問題を起こすケースもあるのではないかという(レアな?)懸念もあります。
信託契約している方自身が問題になる可能性を認識しないままトラブルが発生するようなことが無ければよいのですが、こういったケースに対する対処の方法やアドバイスなどを会員を含め正しく周知することも管理団体としての役割なのではないでしょうか。
今回の事例は市教委側も買い上げを想定しての依頼であったと考えられますが、それぞれが微妙な見落としをしたユニークな事例としては記録に値するのではないかと思います。
何かとお騒がせになっているJASRAC。
繰り返し書いていることではありますが、もう少し活動内容や利用者・権利者への周知活動には力を入れて頂きたいなあと思います。
問題が早く収束するといいですね。



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