DTMにみるRyzenと周辺事情

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AMD Ryzen 7

低コストハイパフォーマンスでAMD復権の呼び声も高いRyzen。
実際の使用感や店頭での実態について調べてみました。

 

スループットは評判通り

各所のベンチマークで示された高い処理性能については市場での評価も同様で、DTMユースでも好評であることが伺えます。

一部で噂になっていたThunderbolt 3非対応も搭載マザーが存在していることから心配はなさそうです。
(但しonboardのポートがオーディオインターフェイス等と問題を起こさないかどうかとは別です!!)

秋葉原のショップを回って見た感じ供給も安定しているようですし、価格も安定しているようです。

DAWベンダーのフォーラムでもトラブルらしいトラブルの報告は今の所なく、DTM用途としては有力な候補と言える存在になったのかもしれません。

メモリ周りに不安が残ります

コストパフォーマンスに疑いはないものの、秋葉原の店頭でも注意書きが入る気になる点がメモリに関してです。

Ryzenはメモリの好みに若干うるさいようで、一部のメモリで動作が不安定になったり起動しないという事例が報告されています。
これはメモリランクによってCPUが標榜するスループットが出せない場合があるためで、ハードウェア的な制限と言えます。

通常市販のメモリでトラブルが起こることは(OC等の規格外使用をしない限りは)稀なのですが、店頭でも性能をフルに活用するためにシングルランクメモリを使用するようにアドバイスされています。

場合によってはBIOSからCAS Latencyの設定を行わないと性能が発揮できないケースもあるようですので、自信のない方は素直に店員のアドバイスを聞いてから購入するのが無難です。

またメモリ上限に64GBの制限があり、この部分ではintelのハイエンドCPUに譲っています。

SSD周りにもプチフリーズの報告あり

SSD黎明期によく聞かれた症状ですが、SSDへのアクセスが一時的に停滞してOSのレスポンスが短時間停止するプチフリーズの症状が出るSSDがいくつかあるようです。

メモリ同様に出るものと出ないものもあり、「おみくじ」状態です。

M.2スロットのSSDなら問題が発生しないという情報もあり、店頭でもM.2スロットの使用が推奨されていました。

Ryzenを選択するハイエンド志向のユーザーならM.2は当然選択肢に入っているので問題はない・・・のかもしれませんが、現行のハードウェア資産を移行しながら環境を作るのであれば事前にリサーチをした方が良いでしょう。

RyzenはDTMerを救うのか?

と、ここまではごく一般的な情報を集めたものですが、Ryzenのアーキテクチャを鑑みるとどうしても気になるのが積極的なマルチコア性能寄りのチューニングです。

マルチコア性能が向上する事はシステム全体のスループットやレスポンスの向上には繋がるでしょうし、それはDTM用途にも多大な恩恵があると考えられます。
しかし逆にシングルコア性能も要求されるようになる状況下での応答性に影響があるのではないか?とも考えていました。

その答えをScan Pro Audioが検証していました。

全文の翻訳をすると非常に長くなってしまうので重要な部分に絞って翻訳します。
本文中の後半部分にあたります。
見慣れない単語が含まれていて翻訳に自信がありませんので、誤りがある場合訂正ないし機械翻訳で意味を拾って頂けると幸いです。

In other testing we’ve done along the way in other segments we’ve seen some of the video rendering packages and even some games exhibiting some CPU based performance oddness that has looked out of the ordinary.

Obviously we have a concern here that the might be a weakness that needs to be addressed when it comes to overall audio system performance, so with this result in mind we decided to dig deeper.

To do so we’ve made use of the DAWBench Vi test, which builds upon the basic test in DAWBench standard, and allows us to stack multiple layers of Kontakt based instruments on top of it.

With this test, not only are we place a heavy load on the CPU, but we’re also stressing the sub-system and seeing how capable it is at quickly handling large complex data loads.

意訳:

異なるセグメントの別のテストでは並外れた性能を発揮したビデオレンダリングパッケージや一部のゲームを見ました。

我々はそれらを念頭に置いて、全体的なオーディオパフォーマンスにとって弱点とならないか深く検証してみました。

これを行うためにDAWBenchの標準テストをベースにしたDAW Bench Viテストを使用しました。
これにより私たちはKontaktベースのインストゥルメントを複数重ねて使用できました。

このテストはCPUへの重い負荷とサブシステムにも大きな負荷をかけることで、大規模で複雑なデータを高速に処理できるか確認しています。

簡単に言うとDAW BenchでKONTAKTを大量にロードする負荷テストを実施した、という事ですね。

ゲームや映像処理系でのパフォーマンスの高さは確認しつつもオーディオではどうなのか?という検証を実施したようです。

This gave us the results found in the chart above and this starts to shine some light on the concerns that we have.

In this instance the AMD 1700X under-performs all of the Intel chips at lower buffer rates.

it does scale up steadily however, so this looks to be an issue with how quickly it can process the contents of a buffer load.

意訳:

これによって上記のチャートの結果を得られました、これは私たちが懸念していたことが間違いではないことを示していました。

このテストでは低いバッファレートでAMD 1700XはIntelのチップよりも性能が下回ります。

その差は確実に拡大しており、これはバッファの内容をどれだけ高速処理できるかの問題のようです。

不穏な部分です。

原文のチャートではASIO Bufferサイズが192以下の3つのテストケースが示されていますが、いずれのパフォーマンスもIntelの6800Kより下回っています。

何が起こっているのか?

AMD 1700X 3.8 @ GHz

64 = 520 count @ 70% load
128 = 860 count @ 72% load
192 = 1290 count @ 85% load

Intel 6800k 3.8 @ GHz

64 = 780 count @ 87% load
128 = 1160 count @ 91% load
192 = 1590 count @ 97% load

Intel 6900k 3.6 @ GHz

64 = 980 count @ 85% load
128 = 1550 count @ 90% load
192 = 1880 count @ 97% load

Intel 7700k @ 4.5GHz

64 = 560 @ 90% load
128 = 950 @ 98% load
192 = 1270 @ 99% load

原文に示されたこの比較値はオーディオ再生が破綻する負荷の水準を示しています。

問題はCPU Loadの部分で、IntelのCPUに対しRyzenはオーディオ破綻に至る負荷のラインが低くなっています。
ここに見られる傾向はASIO Bufferを縮小(レイテンシを詰める)した場合、Ryzenは負荷に弱くなってしまうという事です。

短時間の高速処理は負荷分散よりもシングルコアのスループットに依存するためこのような結果になっているようです。
Scan Pro AudioではこれをCPUアーキテクチャのボトルネックではないかとしています。

Ryzenは間違いなく旧シリーズのAMD CPUを上回る新世代のCPUですが、まだ周辺環境が成熟していないこともありこれから先の展開は未知数です。

今夏にも新モデルが投入される情報も出ていますしモデルチェンジなどで状況も変わる可能性もあります。
対抗するIntelも上位モデルの投入を決定しており、にわかにPCを巡る環境にも波が訪れる感じがします。

新製品の登場はいつでも楽しみなものですが、それが音楽にとっても恩恵の大きな物であれば最高ですね。

一時期に比べると全体的にパーツ価格は上昇傾向にあります。

世代が新しくなったことによって型落ちになったパーツは逆に安値になるものありますので、性能とコストパフォーマンスを天秤にかけて良い選択ができるといいですね。

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みるくここあ
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ウィンドシンセを片手に曲を作っています、演奏するのも聴くのも好き。 ゲームとITと変な情報を拾ってくるのが得意。 色々とやっているらしいけど詳細はヒミツ。 オリジナル曲を公開しています。 http://www.nicovideo.jp/mylist/31704203 作曲風景の生放送もしています。 https://rainbowsound.cafe/rainbow-sound-cafe-live/ 音楽やDTMに纏わる話題を色々と書きます。

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