昨年12月に音楽教育を守る会が文化庁長官に申請していた徴収の保留を求める裁定の答申が発表されました。
おおよそ予想の通りの回答であり驚くような内容ではありません。
今回も内容について確認をしてみたいと思います。
要旨
裁定についての詳細は文化庁から発表されています。
裁定の主文は以下の通りです。
主 文
平成 29 年6月7日付けで一般社団法人日本音楽著作権協会から文化庁長官に届出のあった使用料規程については,音楽教育を守る会が求める実施の保留は行わず,著作権等管理事業法第 24 条第3項に基づき,本裁定の日をもって実施の日とする。
これは音楽教育を守る会が求めていた請求の確認を行う訴訟が終わるまで徴収を保留としてほしいという裁定申請に対する回答であって、この回答をもって音楽教室からの著作権料の徴収の係争が終結した訳ではないので誤解しないようにしましょう。
文化庁は音楽教室の敵なのか?
この裁定についての明確な理由については答申書の中に記述があります。
丸ごと引用しても仕方がないので重要な部分を取り上げていきます(が、答申書自体も読んでほしいなあ・・・)。
使用料の規定は「届出制」
著作権管理事業者法の定める使用料規定の定めや変更については管理事業者からの届出制であり、形式的要件を具備していればその届出を受理するものとあります。
続く部分には裁定制度は使用料の協議が事業者間で成立しない場合文化庁長官の裁定で使用料規定を定めるに留まり、利用行為に著作権が及ぶかどうかの判断には立ち入る事が出来ないとあります。
つまりこの裁定ではJASRACと守る会が係争している案件については司法判断によって行われるべきであり、守る会が要求している結審までの徴収保留については文化庁で判断する事ではないと言っています。
保留できないのは法律による制限
使用料規定について実施を行う場合、周知期間の確保を理由として届出から30日以内の実施はできないとあります。
文化庁長官は利用者代表が届出に対しての協議を求めた場合この期間を延長する事が出来るとあり、その期間は最長で6カ月を超えない範囲とされています。(著作権管理事業者法第十四条三項)
つまり文化庁長官が法の定めにおいてこれらの届出を留め置ける期間は最大でも6カ月であり、今回のような係争は長期間に及べばその期間を超えてしまう事が十分に想定されるため保留という判断をすることは出来ないとしています。
利用形態に著作権が及ぶ事を認めるものではない
保留できない理由は上記の通りであり、保留を行わないからと言って教室での楽曲利用に対して著作権が及ぶことを認めている訳ではないと書かれています。
この判断は司法の場で行われるべきと重ねて書かれているように、これで係争が終わった訳ではありません。
司法判断後についての言及
答申では司法判断を待つという結論を出しつつ、徴収を制さない理由としてこの保留を実行してしまうと著作権料の支払に応じる意思のある教室と著作権者に対し回復不能な損害を与えることが考えられるとしています。
これはつまり徴収を開始した場合でも司法判断で使用料の徴収が認められなければ結審までの徴収使用料を不当利得としてJASRACが返却する事が可能なことに対し、保留してしまった後に徴収が認められる場合はそれまで得られるはずであった著作権者の収入を絶つことになってしまう事と徴収開始日から結審まで保留された使用料を回収することが困難になるとしています。
最終的には司法判断としつつも先々の事まで考慮した内容であり、適切な判断ではないかと考えられます。
裁定以外に長官からの付言も
ここまでの内容を読む限りでは守る会の申請については認められなかったという事になりますが、係争中であることを鑑みて長官から適切な措置を求める文書が付いています。
文化庁としては双方へ配慮した上で司法判断までの適切な対応を求めている訳で決してJASRACの言う通りであるとか教育を蔑ろにしている訳ではありません。
裁定を受けてJASRACは4月1日から徴収を開始する方針を発表しました。
双方の主張は引き続き法廷で展開されていくことになりますので、その経過についても注視していきたいと思います。


あなたのコメントをお待ちしています