前回に続いて音源の調整をしています。
まずは音符と歌詞のインターフェイスについては大きな差はない、という所から細かい調整へ踏み込んで検証してみました。
※追記
CeVIO ONEを使用した曲”Beautiful World“を公開しました。
実際の歌唱を確認してみてください。
MIDIベースのVocaloid、独立エディタのCeVIO
CeVIOとVocaloidの編集で大きく異なる部分として音符に対する振る舞いがあります。
VocaloidはMIDIデータの拡張によりノートデータ以外のパラメータを処理しています。
これはVSQファイルからも類推できることですが、解析を既に行っている方もいるようなので詳細は割愛します。
こ の方法の利点としてはDAWが取り扱うデータのルールから大きく逸脱しないためVSTi化してコントロールが可能になる点や、ノートパラメータ自体は MIDIフォーマットであるためVocaloid Editor for CubaseのようにDAWの拡張機能として組み込み易い点があります。
もっともこれについては曲を作ることに対してはあんまり関係ないんですけどね。
CeVIOの場合独自のエディタ上で全ての処理を行っている点やいくつかのパラメータの取り扱いを見る限りMIDIとは異なる独自のフォーマット(あるいは大幅に拡張したデータ)での処理であると考えられます。
バイナリで見た、とか書くと最近はリバースエンジニアリングが云々(ry
パッと見した感じそう感じられるというだけなので詳しい方に譲りたいと思います(汗
そしてその独特な編集方法が非常に秀逸であるためちょっと詳しく書いて行きたいと思います。
優秀なタイミング編集機能
画像はCeVIOのタイミング編集モードです。
CeVIOのエディットはVocaloidと違い、音符自体は移動させません。
音符に対して紐付られている各パラメータを調整することでタイミングやピッチを調整していきます。
これは音楽的(楽譜的)に正であり理に適っています。
Vocaloidの編集データは小間切れの音符が散在し、発音タイミングも音符をTick単位で調整する必要があり入力したデータは美しくありません。
仮歌の製作を行った後に楽譜を起こそうとすると大変な苦労をすることになります。
(こういう使い方自体がレアケースなのかもしれませんが。)
こういった側面からタイミングの編集についてはVocaloidに比較して非常に初心者向きであると言えます。
画像の紫ラインが発音タイミングの先頭を示していて、これを前後に調整することで同じ音符でも母音が長め、子音が長めなど調整が可能です。
紫色のラインを編集して調整したラインはオレンジ色に変化して、調整済みであることが分かります。
これらの調整はテンポを編集してしまうとリセットされるようなので要注意です。
そして紫色以外にも何やら青いラインがあるのですが、残念ながらこれがなんなのかは分かりませんでした。
何か重要なものの様に思えるのですがマニュアルに明記されていないので弄って覚えてね?って事なのでしょうか。
情報があれば良いのですがどなたかヒントがあれば是非教えて頂きたいと思います。
前回も少しだけ触れましたが、英語の歌詞の入力についてやや不安を感じていたのですが、実はこのタイミング機能のお蔭で実現の目途が立ちました。
タイミングの編集は母音の長さを0に近づけることができるので、Don’t/Can’tと言った「ト」を明確に発音されるとしょんぼりしてしまうようなケースを回避しやすいようです。
音符を細かく切れることで無理やり英語ライクに発音できるVocaloidに有利かと思っていた点ですが、さすがは後発技術だけあって抜け目ありませんでした。
ピッチの調整も親切
タイミングに続いてはピッチの調整についてです。
ここはVocaloidに対して大きなアドバンテージを見せつけています。
Vocaloidではピッチベンドパラメータを調整してピッチの変動を制御したり、短い音や無声音にポルタメントさせることでしゃくりなどの表現をするテクニックがありました。
MIDIにおけるピッチベンドは残念ながらお世辞にも使いやすいとは言えません。
これはDAW上でも言えることですが、カーブの入力や入力したデータによる変化量と感覚が一致しないという大きな問題があります。
対してCeVIOはピッチ編集画面を呼び出すとピアノロール上に音程を示すカーブが表示されます。
これは視覚的に音程変化を捉えることができる為編集が非常に楽になります。
また、カーブの入力はフリーハンド描画なのはMIDIと変わりませんが手書きカーブでも変化量を確認しながら調整できるためビブラートの入力もしやすいというメリットがあります。
フリーハンドならVocaloidと変わらないんじゃないの?と思うなかれ。
ピッチベンドデータの場合変化の描き直しを行うのは至難の技ですが、CeVIOの場合は何度書き直しても基準になる緑色のラインは残っているためどこが基準かを見失わずに編集ができます。
タッチ入力が可能であればもっと繊細なデータの入力も可能かもしれませんが、手元にはマウスしかないためそこまで細かく突っ込めていないのが残念です。
描いたカーブのストレッチなども出来ると夢が広がりそうなんですがそれは欲張りでしょうか。
ビブラートにはビブラート用のパラメータがあるのですがこれについてはちょっと厄介なので次回にしたいと思います。
二回目はタイミングとピッチの編集について検証してみました。
入力してみると分かるのですが、Vocaloidに比べてここが強いと思える点が増えた感じです。
入力にもすこし慣れてきて余裕が出てきたことで色々と見えて来た感じがします。
Vocaloidに比べると初心者にはとっつきやすいだけに、インターフェイス回りをもう少し工夫して初心者が安心して使えるデザインであれば・・・思います。
また、自分はONEのスターターパックを買ったのですが、この買い方だとさとうささらさんのソングボイスは入手できない?ようなのであれれ?と思っています。
(公式ではソング+スターターとなっているので単体販売はしていない?)
追記:公式ではなくVectorと楽天でソングボイス・トークボイスの単体販売がありました
今回はCeVIO上げ、な感じになってしまった感がありますが編集機能の差を紹介してみました。
比較していく内容ですので新しい面は当然注目しますが、長年利用されているMIDIベースの入力が劣っている訳ではないのでその点は誤解しないでください。
重要なのは両者の設計の差でも、データの方式の差でもなく、いかに直感的で分かりやすく、思った通りの結果を作ることができるかです。
次回は人間らしい歌唱には欠かせない音量と音程の変化、ビブラートに触れたい(触れたくない;)と思います。




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