
あの人の曲みたいにカッコいい音ができないかなあ?とか、あの人の綺麗なピアノの音、やっぱり高い音源なのかしら・・・とか。
溜息が出そうなることがたくさんあります。
もちろん高価な音源やプラグインで環境を作っている人もいますし、ギター一本でゴリゴリのバンドサウンドを作っている方もいます。
機材の差は純粋に音の差になって現れますが、それはいい機材を活かす事のできる技術に裏打ちされた物でもあります。
何が良くて、何が悪いのかが分からない時に高価な音源を導入しても十中八九持ち腐れます。
高価な音源は音色自体も存在感があり、他を圧倒します。
マネキンの中に燦然と輝く黄金のオブジェを置くようなもので、一か所だけなんとかしてみても全体のバランスとしては招かれざる客でしたなんてことになりかねません。
先日購入したilya efimovのナイロンギターでまさにそれをやってしまった訳でして、反省の意味も込めて基本から出直しです。
DTMを始めたばかり、とりあえずDAWと付属の音源を手に入れたぞ!!
という辺りまで引き返してどうやったら少しでもいい音になるのかを一から勉強していきたい!!と、自分がハマった失敗を振り返りながら改めてまとめてみたいと思います。
素材のクオリティが結果を決める
録音が全て、と言われるくらいに素材の音は重要です。
元の録音がノイジーだったり音割れしていたらエンジニアでもどうにも出来ません。
DTMに置き換えてみれば音源のクオリティが低ければ自ずと上限が決まってしまう、と言う事になります。
ですが、DAW付属の標準音源も各メーカーが考えて用意した音源、使い物にならないレベルの物ではありません。
例えばCubase付属のHalion Sonic SEはヤマハと合弁したことによりヤマハのフラグシップシンセだったMotifの音色を搭載しています。
ヤマハが協力している事でエレピやグランドピアノなどヤマハの楽器をサンプリングした音も多く、昔からヤマハの音源を使っていた身には実に扱いやすい・・・
ではなくて!!
昔からヤマハの音源はアコースティック系に強いと言われていたように、アコースティック系の音色には「おっ?」と思わせる音があります。
またVocaloid Editor for Cubaseの紹介をした時にも少し触れたNote Expressionに対応した音色もあり、繊細にコントロールすれば表現力もなかなかです。
自分はCubase一本で来てしまっているので残念ながらHalion Sonic SEの事しか書けませんがNaitive Instrumentsがフリーで公開しているKONTAKT Playerやサウンドフォントを鳴らす事ができるSFZ Player等のDAW付属の音源にも魅力的な音色はあります。
いきなり高価な音源を買わなくても、フリー音源で拡張すれば手数を増やすことが可能です。
まずはKVRやfreevst.tokyoの様な情報サイトで自分の欲しい音色を出してくれる音源を探してみましょう。
音源が料理で言うところの材料だとしたら、そろえた後は調理の時間です。
調理の方法はまさに煮るなり焼くなりであって、志向するジャンルによって方法論もテクニックも異なりますし、別に作曲法のお話をする訳ではないのでここではスルーです。
ここで考えるのは「折角作った料理なのになんか美味しくない時」にどういう工夫をしたら美味しくなるの?っていう部分を攻めて行きたいと思います。
重要なのは山盛りの音圧じゃないらしい
出力にL3噛ませて突っ込めば迫力もでてバッチリなんじゃない!?
そんな風に考えていた時期が、俺にもありました。(画像省略)
むしろマキシマイザーでボリュームを上げても何の解決にもならなかったという苦い思い出ががが;
音圧競争と言われる様に、市場にある楽曲は非常に迫力のあるサウンドに仕上がっています。
これはエンジニアが商品として市場に出せるようにした「製品」でありクオリティが高いのが当然な訳です。
先程からの流れに倣って料理に例えるとエンジニアがやっている事は料理をお皿に乗せて盛りつける部分です。
目で見て美味しいと言うように盛り付けにも技術が必要ですが、これは極めて繊細な作業で違和感を感じ取り適切に処理が出来る優れた聴覚とセンスが要求される分野です。
とても自分が解説できる事ではありませんが家庭料理を脱却しようという努力としてマキシマイザーと言う皿に盛り付けた料理がなぜ美味しくなかったのかについて考えたいと思います。
マキシマイザーを通っても思ったほど迫力がでないのはその前の段階、つまり音のバランスが原因です。
よい音源を使って「綺麗な曲が出来たぞ!!ムフー!!」と思っていても完成が近づくにつれて思ったような響きが無くなってしまったり、「ズンズンくる迫力が出たぜ、もっとLOUDYに生きる!!」と頑張ったのになんかスカスカしちゃったり音が割れてダメになってしまったり・・・
音が鳴ってる事にばかり注意が向いてしまう初心者が陥りがちな失敗ではないでしょうか?
音が鳴る、音量が出る事は重要ですが物事には「絶対と相対」という考え方があります。
音量を0から考えて、音量を上げたいだけ持ち上げるのが「絶対的」な音量変化、基準となる音(例えばベース)に対してどのくらい大きくするか小さくするかという考え方が「相対的」な考え方です。
もう少し煌びやかにしたいなあ・・・とEQの高域を持ち上げみたり、低音が足りない!!とベースの低域をグイグイ持ち上げてみると確かに期待した効果は得られるかもしれませんが、他の音が目立たなくなってしまったりキックの音が聞こえなくなってしまったりと困った事になって行きます。
逆に聞かせたい部分以外の音を控えめにする様にEQで他のパートを削ったり、他のパートの音量を下げて見ると全体として音量は下がりますが目指すバランスは同じです。
むしろマスターの出力は余裕が出来て調整のための余地が生まれます。
これは音楽の話だけではなく、「絶対的」なアプローチは扱いを間違うとすぐにインフレします。
これが先人の言う「EQは下げて使いましょう」という理由なんでしょうね。
何でもかんでも突っ込むのではなく、素材の段階からしっかりと下拵えをしなければ素材の味は引き出せない。
料理人が味付けや包丁の扱いを修行するように、材料の持ち味を活かすにはしっかり準備が必要なんですね。
まさに料理に通ずるものではないでしょうか。
つまり自分が上手くいい音を作れなかったのは料理が出来ないからなんだな;
音の扱いに真剣に向き合ってみる
そして曲作りの終盤になってここに戻ってくる事になる訳です。
最初からある程度しっかりとした方針を持っていればここでそんなに苦労する事は無いのですが、場合によっては最初思っていたのとは全く違った楽器や音色の構成になってしまう事もあります。
そんな時はすべてのパートで見直しをしていかなければならない事もありますが、それぞれのパートで鳴っている音を丁寧に扱って初めて、「今よりもいい音」に辿りつけます。
と、一般論を並べるだけなら誰にでも出来るんです。
何をどうしたらどうなるのか?
分からない時はそういう結果が欲しいんですよね。
言い出したからにはやらなければならない、そしてやらなければ結果は出ない。
結果が出せるかは分かりませんが今でも初心者レベルから脱却できない自分でも出来る基本から順番に勉強をしなおして行きたいと思います。
これからやること
次回から楽曲の基本となるリズムを構成するドラムパートをどうしたらいい音に出来るかを順番に実践していきます。
最初は主要3ピースのバスドラム、スネア、ハイハットから始めます。
基本を作ったらベースとの兼ね合いや、さらに上のパートを重ねて行って処理をした場合としていない場合の差を確認できるようにしてみたいと思います。
と、退路を断った上で少しずつ進めて行きたいと思いますので気長にお付き合いいただければ幸いです。
そんな訳で一発目の実践はドラムの音を調整します。
ちゃんと動画も作ったので見て貰えたら嬉しいです。
俺はそんなやり方しないよとか、俺ならもっと上手くできる!!という方は是非その方法を解説していただければ幸いです。
勉強させていただきます!!(他力本願)
次回へつづく。
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