米津玄師のドーナツホールをVOCALOID 5でカバーしてみました

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Photo by Charles "Duck" Unitas from Unsplash

紅白歌合戦に米津玄師さんが出演という事で、もう少し早くアップできればよかったなあと思ったりしました。

 

VOCALOID 5の標準ライブラリ、Kaori、Amy、Chrisと3つのライブラリでそれぞれテーマを持って調整に挑戦してきましたが、標準ライブラリ最後の一つとなったKenを今回は使ってみる事にしました。

ここまで3つのライブラリでVOCALOID 5の編集のポイントやライブラリ固有の癖とコントロールについてある程度理解が出来てきました。

そんな訳で標準ライブラリ4種類の締めくくりとしてKenを使ってみんなが知っている楽曲をできる所まで歌わせてみようと思っていました。

色々あって纏めるのが大分遅くなってしまいましたが、解説について纏めていきたいと思います。

日本語男性ライブラリ、Ken

VOCALOID 5の標準ライブラリは日本語ライブラリ、英語ライブラリにそれぞれ男女のボイスが付属しています。
Kenはその日本語男性ライブラリにあたります。

Kenの音域は高くなく低くもなく、予想に反して結構高めに寄っていたChrisに比較して低い方もある程度歌える感じの声をしています。
それでもやはりC2付近の音になると荒さが目立ってしまい音がもこもこしてしまうのでその辺りの処理をうまく乗りこなしてあげるとスッキリと聞きやすい音になるのではないかと思います。

標準付属のライブラリはそれぞれ微妙にターゲットとなる音域が異なり一様な使い方で使いこなせるかというとそういう訳でもないという感じで、初心者にはちょっと困る部分もあるのではないかと思います。
その場合は一つのライブラリを使い倒す方向で理解を深める事で他のライブラリの癖を受け入れやすくなると思います。

ベタ打ちでも優秀です

今回挑戦したドーナツホールはテンポ126、八分ノリなので倍の252とかなりテンポの速い曲になっています。
その分拍頭にモタりの入る歌唱になりやすいノートの近接が多くなるのですが、VOCALOID 5ではVelocityの設定を丁寧に行う事でかなり緩和できるようになっています。

と、言ったものの実は最初にベタ打ちした段階でもそこそこの歌唱が出来ました。
勿論そこから追及していくことでより良い歌にすることが出来る訳ですが、初めて挑戦する人にもこんなに出来るのかという気持ちを感じて貰えるのは良い事だと思います。

今回はテンポの速さにのっていく事を重視してデュレーションの調整を中心に作業をしてみました。
歯切れの良さと活舌をできるだけ良くできることを目標に作業をした内容をまとめておきます。

歯切れの良い歌い方

テンポが速い曲を歌う時はテンポの速さについていけるように立ち上がりが早くキレの良い歌い方が向いています。
VOCALOIDで立ち上がりの良い歌い方をするためにはVelocityを高く設定する必要があります。

今回の調整ではベタ打ちの後、Velocityの調整を大まかに行いました。
フレーズの頭はVelocityを127に設定し、出だしの立ち上がりを鋭く、それでもモタりがある場合は若干ノートを前にスライドさせることでタイミングを取っています。
前のノートの影響を強く受けて遅れたり発音がぼやける場合は前のノートのデュレーションを短くとって妥当なバランスを取ります。
テンポが速いとDynamicsで音を消してから垂直立ち上げでブツ切りする入力が上手く行かない事があるのでまずはVelocityとノートの長さでとりあえず形を作っていきました。

ある程度形になった所で今度は抑揚の調整を行います。
テンポが速いことと、元々激しく抑揚をつけている歌い方ではないので(色々な解釈のバージョンがありますが)あまり激しくはしませんでした。
それでもフレーズの頭は基本的にExciterを上げて強く、フレーズ内ではある程度緩急が付く程度にはパラメーターを触っています。
そうやって調整してみてもテンポが速い曲の場合抑揚より勢いが重視されるので劇的に変化がある訳ではありません。
僅かな差かもしれませんが細かい調整が最後には結果に変化を与えているものなので生きたフレーズを目指すなら丁寧に入力しておくのが良いです。

ハキハキした声にする

VOCALOID全体に言える事ですが、意外とLoMidに重い音が出てくるのでこの辺りはEQでカットしつつ薄っぺらな声にならない程度に調整をします。
更にテンポに合わせて出来るだけハキハキした発音になるようにEnvelopeShaperでアタックを少し持ち上げてリリースタイムをテンポに合わせて設定しアクセントを強調するようにしてからボーカル処理用のグループに送り込んでいます。

ボーカル処理のグループではアナログシミュ系のコンプを一段通してからScheps Omni Chanelを通した後にNeutron2の自動解析を行って最終的な出力にしています。
Schepes Omni Chanelは比較的新しいアナログ系のプラグインですが、他のwavesのプラグインと同じくプリセットの監修が丁寧に行われているのでVocal向けプリセットを選択するだけでもかなりいい雰囲気になります。

昨今ではiZotopeプラグインの時短効果に比べると見劣りするような印象になりつつあるようですが、エンジニア監修のEQやコンプのレシピを学べるという意味では価値のあるものだと思います。
単品セールも多いのでつまみ食いしやすいのも初心者には嬉しいのではないかと思います。

VOCALOIDだけの出力では補いきれないスピード感などをEnvelopeShaper等で付加するのは早い曲では有効です。
影響を強く受けて大きく音量が上がってしまった部分についてはWaveLabで部分的に音量を削る処理を行っています。

ハモりはIAを使用

原曲は部分的に下にハモりが入っていますが、Kenの音域的に旋律がすでに下限に近いのでハモりパートはIAでオクターブを上げて入れました。

ハモリの音域はどのVOCALOIDでも悩みの種で、美味しい音域に対してやや上、やや下という部分を歌わせると歌いやすい音域から外れて綺麗に聞こえない場合があります。
らしさと割り切ってキンキンさせてしまうのも選択肢の一つですが、対応可能なライブラリをサポートに入れて無理なく歌わせる方が個人的には綺麗に聞こえると思っています。
低い方であればCeVIOを使ったり、高い方ならピッチベンドを使用してオクターブ上へ発声音をシフトさせる方法など工夫をすることで結果が良くなることもありますのでどうしても上手くハマらない時は小技で乗り切れる事があることも覚えておくと良いかもしれません。(オススメはしませんw)

詳細はデータを見てね

今回のデータも配布を行います。
サビの調整や手を付けなくてもいい部分の塩梅などを確認して貰えると良いのではないかと思います。

VOCALOID 5はExciterの設定が出来たことで表現の幅が格段に広がっています。
Exciterをどのタイミングで動かすか、一緒に動かすDynamicsやCharacterなどで表情を付やすく、ポイントでの表現にはAttackとReleseエフェクトを織り交ぜて繋がりが悪くならないようにしていくと表現力がどんどん向上していきます。
実際4種類のライブラリを巡ってようやく編集のポイントを押さえた程度なので、さらに使い込んでいる人ならもっと表現力を向上できるでしょう。

Amyを使ったTommorow is mineは海外のユーザーから非常に好評でしたし、AmyもChrisも英語ライブラリとして使い込んでいく価値のあるライブラリです。
複数のライブラリをフル活用した作品作りなども楽しいと思いますので英語ライブラリを活用した楽曲にも是非挑戦してみて頂きたいなと思います。

今回の結果はこちらです。

いかがでしたでしょうか?

追及していくたびにアレもできそう、コレもいけるのでは?と思いつくのはとても楽しい事だと思います。
VOCALOID 5、VOCALOIDを使用してこんなものを作ったよ!!という作品があれば是非教えてくださいね。
新しいユーザーの参加を楽しみに待っています。

ドーナツホールのVOCALOID 5プロジェクトファイルは以下のリンクからダウンロードできます。

他のライブラリで歌わせてみるのも楽しいと思いますよ。

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みるくここあ
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ウィンドシンセを片手に曲を作っています、演奏するのも聴くのも好き。 ゲームとITと変な情報を拾ってくるのが得意。 色々とやっているらしいけど詳細はヒミツ。 オリジナル曲を公開しています。 http://www.nicovideo.jp/mylist/31704203 作曲風景の生放送もしています。 https://rainbowsound.cafe/rainbow-sound-cafe-live/ 音楽やDTMに纏わる話題を色々と書きます。

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